エンターテインメントの街、浅草六区の一角。
木版館さんは、浮世絵に魅せられたカナダ人が、日本の文化を教えてくれるアートな館です。
木版画・浮世絵が観られる! 買える!
若手芸人さんたちの声がにぎやかな浅草リトルシアターさん(【浅草リトルシアター】六区のお笑い小屋で若手芸人と触れ合う小さなライブを体験)のお隣。
巨大なバレンの看板が目印です。
細い階段を上っていくと、そこは木版画の世界。
店主は、カナダから来た彫師・摺師職人デービット・ブルさんです。
日本の木版画と言えば浮世絵。
昔の職人さんは、下絵をデザインする絵師、版木を彫る彫師、色を付ける摺師が、分業で一枚の浮世絵を制作していました。
デービットさんは、書物を読むなど、独学で日本の木版画の技法を学び30年以上! 下絵は描きませんが、 彫師と摺師、両方のプロフェッショナルです。
木版館さんでは、江戸時代に摺られた葛飾北斎、歌川広重などの復刻版浮世絵、
20世紀に活躍した川瀬巴水と吉田遠志の新版画、
1800年代に摺られた当時の浮世絵木版画、
現代作家がデザインした新作まで、
常時200点ほどの木版画を展示・販売。
デービッドさんが彫った貴重な版木(非売品)を観ることもできます。
ちなみに版木には山桜の木が使われます。
版木がすでに美しい! 女性らしいやわらかさが、輪郭線から感じられます。
販売されている木版画の価格は3000円~。
木版館さんの公式サイトでも購入できます。
手にとって浮世絵を鑑賞する醍醐味
ところで、皆さんは手にとって浮世絵を鑑賞したことがありますか?
写真ではわかりにくいのですが、近くでよく見てみると、摺った跡に小さな凹凸のあることがわかります。
1852年に制作された三代目歌川豊国の浮世絵。
これこそが木版画の味。平面だと思っていた画を、立体で楽しむことができるのです。
斜めから光を当てると、より立体感が強調されます。
江戸時代の浮世絵は、そば1杯より少し高い値段で買える庶民の娯楽でした。
ガラスケース越しに鑑賞するのではなく、もっと気軽に手元で観るのが、本来の楽しみ方なのですね。
奥深き木版画の世界を垣間見る
さらに、先ほどの歌川豊国の浮世絵、女性の白い襟を間近で見ると、凹凸で模様が描かれているのがわかります。
「空摺り」という技法で、絵の具を付けず、摺ったときの圧力だけで凹線を付けているのです。
日本の職人さんらしい細かい技です。
また、こんな水墨画のようなタッチも木版画で可能。
こちらは、先ほどのデービッドさんの版木。たたでさえ細い輪郭線の中に、さらに細かい溝が彫られています。
こうして、繊細な線の表現を演出しているのです。
こちらは、木版館さんにある版画ではただ1点、特殊な技法で実験的に仕上げられた創作木版画。
写真をもとに、藍色のみで描かれています。一色で摺っているとは思えない豊かな表現。本物の写真に見えます。
カナダ×米国のインターナショナル浮世絵も!
デービットさんは江戸時代の浮世絵の復刻版だけでなく、現代風のオリジナル「浮世絵ヒーローズ」も手がけています。
下絵はオハイオ育ちのジェド・ヘンリーさん。
現代のモチーフを浮世絵にした意欲作です。
米国人が絵をデザイン、カナダ人が彫り、日本人が摺った浮世絵。
21世紀の浅草で、こんなインターナショナルな作品が観られるなんて、北斎も歌麿も想像しなかったでしょう!
手ぶらでOK! 木版画摺り体験
木版画の販売と並ぶ目玉が摺り体験。
版木とバレン、絵の具を借りて、自分で木版画を摺ることができます。
エプロンも貸してくれるので、完全手ぶらでOKです。
体験じゃぱんが取材に伺った際も、浅草に遊びに来たグループが体験中でした。
版木に絵の具を落とし、刷毛で全体になじませ、
紙を乗せてバレンで摺ります。
簡単そうに見えますが、絵の具が乾く前に摺らねばならず、作業はとてもスピーディ!
デービットさんは初めての体験に戸惑うお客を急かし、時には鋭い突っ込みで笑わせます。
皆さん、笑いの中にも真剣な表情。初めてだって、うまくいかなければちょっとヘコんでしまいます。
同様の作業を繰り返して色を重ねていくと・・・・・・
桃太郎の完成です!!
完成した木版画は持ち帰れます。
体験は通常1時間ほど。
料金は1人2160円、ファミリープラン(大人2人+子ども)は4320円、グループ割引有り。
日本語ぺらぺらのデービットさんが、やさしく、楽しく教えてくれます。
木版館の営業時間・アクセス
木版館さんの営業情報は下記の通り。
営業時間:10時~17時30分(火曜定休)
電話:070-5011-1418
住所:東京都台東区浅草1-41-8 2F
デビット ブル 様
長らくご無沙汰しています。
お元気の様子を、TVで拝見いたしました。
三島市の朝日です。
TV等で浅草の「木版館」のことを知りました。
思いがかない、おめでとうございます。また、ご清栄の様子、お喜び申し上げます。
6月19日午後は浅草の「木版館」においででしょうか。
おいでならば、足を延ばしたくお便り申し上げました。
朝日智雄