4月17日(日)の浅草は、朝から荒れ気味の天気。気象庁のデータでは、東京の最大瞬間風速は28.8m/sと記録されました。
ルール上雨天決行とはいえ、これほどの悪天候では早慶レガッタも開催が危ぶまれます。実際にいくつかの競技が中止に。
しかし、最終競技「対校エイト」(これが早慶レガッタと呼ばれます)は、実施するとのこと。体験じゃぱんも取材に伺いました。
悪条件にレースは波乱の予感
開始時刻20分前の15:00ごろ、ゴール手前の桜橋では大勢の観客が、スタートを待っていました。
応援席からは、隅田川に元気のよいブラスバンドの演奏が鳴り響きます。
午前中の雨はやみ、晴れ間が見えてきましたが、風はやむどころか強さを増してさえいるよう。
橋の上から水面をのぞき込むと、ところどころに白波が立っています。
風向きは順風ですが、シロウトでもわかる悪条件です。
そんな中、両校の艇は予定より5分ほど早く、新大橋下流からスタートしました!
レース半ばでボートがとまった!!
レースが始まると、両校のブラスバンドと声援はいっそう熱を帯びます。
大型モニターに早慶のボートが映し出されます。
スピーカーでレースの様子が実況されていますが、風でかき消され、よく聞こえません。
先行しているのはどちら? ペースは? と、観客はやきもきしながら待っています。
ゴール手前およそ1000m地点の吾妻橋を越えれば、そろそろボートが見えてくるはず。
ところが、スタートから10分を過ぎ、昨年のゴールタイム近くなっても現れません。
周囲がざわつき始める中、「早稲田の艇が止まっている!」との声が。
モニターを見ると、確かに選手はオールを漕いでいません。
浸水のため、レースを続行できなくなってしまったのです。
59年前と正反対の結末に
慶応は大丈夫なのか??
数分後、モニターに映し出されたのは、動きを止めているらしき慶応の選手たち!
しかし、ボートは沈んでおらず、必死に水をかき出している模様。
やがて、オールが動き出し、桜橋からもその姿を確認できるようになりました!!
コックス(舵手)の指揮に合わせ、8人の漕ぎ手が息を合わせて進みます。
橋の上の観客からは「よかった」と安堵の声、そして足下を通過する選手たちを激励します。
「がんばれ!」
無事ゴール!
早慶レガッタは、なんと慶応の5連覇。
トータルの戦績は、慶応の40勝44敗1引き分けとなりました。
「珍事」とも報道される今年の結果ですが、過去にもボートが沈没した大会がありました。
1957年の第26回大会、このとき沈没でレース続行できなくなったのは、慶応でした。
59年を経て、反対の結果になった2016年の第85回大会も、ファンの語りぐさになることでしょう。
早慶レガッタについて詳しくは「『早慶レガッタ』2016は4月17日(日)に開催! 日程、見どころ、観戦スポットのおすすめなど総まとめ」をどうぞ。
がんばれ! 早稲田、全日本で雪辱だ!!
早稲田の選手たちは、救助ボートに乗ってこちらも無事に帰ってきました。
健闘をたたえる観客。
しかし、選手たちはうなだれ、遠目には、何人かは涙を流しているようにも見えました。
しかし、大学ボートは、これからがシーズン。9月には全日本大学選手権大会が行われます。
昨年も、早稲田は早慶レガッタで失格という悔しい思いをした後、全日本大学選手権大会の「男子エイト」で優勝を果たしました。
早稲田の今シーズンの活躍、そして早慶の熱戦を期待しましょう。