通称「待乳山聖天」は浅草寺の支院のひとつで、正式名称を「本龍院」といいます。
「聖天様」とも呼ばれ、古くから地元の信徒さんに親しまれている寺院です。
ユニークなしきたりと、月に1回の日曜勤行、写経の会を体験してきました。
東京で一番低い山??
大根をお供えする
シンボルマークは巾着
大根と並ぶ聖天様のシンボルが「巾着」。こちらも、境内のあちこちに見ることができます。
縁結びと夫婦円満、商売繁盛にご利益
待乳山聖天のご本尊は「大聖歓喜天」です。大聖歓喜天は仏法を守護する仏教の神様で、「聖天様」と呼ばれ、多くの人に信仰されてきました。
東京スカイツリーと日本庭園
浮世絵にも描かれた築地塀
池波正太郎生誕の地
浅草ゆかりの文人として、必ず登場するのが池波正太郎。
「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」など時代小説の傑作を数多く遺しました。
「池波正太郎生誕の地」の記念碑が、待乳山ふもとの待乳山聖天公園に建っています。
碑によれば、池波正太郎の生家は、旧東京市浅草区聖天町61番地。聖天様のすぐ近くで、池波は自身のエッセーに「生家は跡形もないが、大川(隅田川)の水と待乳山聖天宮は私の心のふるさとのようなものだ」と記しています。
待乳山を中心に、独特な歴史の香りが漂う奥浅草。作家のイマジネーションを刺激する土地柄なのかもしれません。
誰でも参加できる日曜勤行
本堂に入り、お経を読み、さらに法話を聞くことができます。
毎月第2日曜日の午前9時から行われ、誰でも無料で参加できます。
体験じゃぱんも、おそるおそる勤行を体験し、その様子を取材させていただきました。
20人ほどの参加者の皆さんと一緒に、観音経、般若心経を唱えます。
経本を貸し出してくれます。しかし、お経を読んだ経験は、葬儀のときの数回しかありません。
ついていくのも大変です。
堂内に太鼓の音が響きます。もちろん、お経の意味はわかりません。
太鼓に合わせ、ただ読むことに集中します。
緊張もあったのでしょう、10分ほどの読経すると、どっと力が抜けました。しかし、気持ちはすっきり、心地よい疲労感です。
思えば、朝から10分も続けて声を出すことなど、日常生活ではまずないのです。
読経の後は、ご住職の法話をお聞きしました。
昨日と今日では、違う自分になっているはず。同じお経でも、飽きることなどない。そのたびに新たな気持ちで読みなさい、と説かれました。
勤行に参加する敷居は、決して低くありませんが、わからないことは、お寺の方へ聞けば丁寧に教えてくれます。
お寺では、「お気軽にご参加ください」と案内されているので、興味のある方は素直な気持ちで体験してみてはいかがでしょうか?
誰でも参加できる「写経の会」
日曜勤行の後、月1回の「写経の会」が開催されます(毎月第2日曜日、午前10時~/午後1時~)。
参加費は500円で、こちらも誰でも参加できます。
墨とすずり、紙、お手本などは、用意されています。筆のみ持参しますが、ない人には貸し出してくれます。
塗香で身を清め会場の大広間へ。
般若心経を皆で唱和した後に、お手本を書き写していきます。
これは集中力が高まります!!
勤行のくだりの繰り返しになりますが、お経の意味はわかりません。
「色即是空、空即是色」と、知っている言葉に少しテンションが上がっても、本質的な意味なんて理解できるはずもありません。
ひたすら書くだけです。
物書きの仕事をしていますが、考えながら書くのがふつう。「書くだけ」という機会も、なかなかないものです。
50分後、書き終えた写経はお寺にお納めします。
お手本を凝視してかたまった目を、しばしばさせながら会場を出ると、
「あら、すっきりた顔してるわね」
と、お手伝いのご信徒さん。
大変お世話になりました。
ありがとうございます。
まとめ
待乳山は、古くから絵画や和歌の題材にされた風光明媚なところ。
文人墨客たちが愛した名所は、景色や形は変わってしまいましたが、エッセンスが現代に受け継がれています。
大根をお供えして、お経を読み、写経してから、日本庭園を散策――。
日曜日の午前中、ふだんは中々できない体験を、一気にすることができました。
アクセス
名称:本龍院(待乳山聖天)
住所:東京都台東区浅草7-4-1
アクセス:東武スカイツリーライン・東京メトロ銀座線・都営浅草線浅草駅から徒歩10分。
浅草松屋前より、都営バス東42甲で南千住行「隅田公園」下車、 都営バス東42乙で南千住行「リバーサイドスポーツセンター」下車、循環バス北めぐりんで「隅田公園」下車。
電話番号:03-3874-2030